公正証書とは?
さて、前ページまでは内容証明についてのお話でしたが、このページからは、公正証書(こうせいしょうしょ)についてのお話です。
・まず、そもそも「公正証書」って 何? からです。「公正証書」とは・・・「公証人」が公証人法、その他の法律の定めに従って作成する公文書のことです。
「公証人」とは・・・公証役場で事実や契約行為などの証明、認証を行う公務員のことです。元 裁判官、検察官、弁護士 などの権威が有り法律にお詳しい方々で、国から任命を受けています。
ですから、そのような方々が作った書面ですから、権威があり、証明力がある訳です。
例えば・・・あなたが、不動産のような大きな買い物をする場合、多額の金銭を誰かにお貸しする場合には、契約書を作成しますよね。
これは、契約内容を書面に記録しておくことで、証拠として残すためですよね。
契約書は当事者同士だけでも作成できますが、「公証人」が作成した「公正証書」のほうが、証拠としては強い効力があります。
そりゃーそーですよね・・・権威のある方達が作成した書面ですし、お国からのお墨付きですからね。・・・
また、トラブルになり、訴訟に発展した場合でも、普通の契約書よりも公正証書の方が、強い証明力があります。
さらに、後からご説明させて頂きますが、「強制執行認諾約款」(きょうせいしっこうにんだくやっかん)のある公正証書を作成しておけば、あなたが相手方に、お貸ししていたお金を期限までに返還してくれなかったときには、訴訟をすることなく、直ちに相手方の財産に強制執行(きょうせいしっこう)をすることができます。
また、離婚に伴い相手方と合意した養育費の支払いなども、「強制執行認諾約款」のある公正証書を作成しておけば、相手方が約束どうりに支払わない場合には、訴訟をすることなく、直ちに相手方の財産に強制執行をすることができます。
ただし、相手方に、お金を貸した場合も、離婚に伴う養育費などのお金を相手方から頂く場合も、相手方に支払う能力がないとできませんけどね・・・
ここで、用語の説明をさせて頂きます。「強制執行認諾約款」と「強制執行」です。
まず、「強制執行」からです。
あなたは既にご存じで聞いた事もあるかと存じますが、一応ご説明させて頂きます。
「強制執行」とは・・・あなたが裁判所に申し立てをして、支払い義務のある相手方の財産 {給与、預貯金、動産(自動車、絵画、高級時計などなど不動産以外の物)、不動産(家、土地)}などを、裁判所に差し押さえてもらい、その中からお金に換えれるものはお金に換えて、相手方が支払ってくれなかった分に充ててくれるって事です。
次に、「強制執行認諾約款」です。
「強制執行認諾約款」とは・・・相手方が支払うべきものを支払わなっかときに、「直ちに強制執行されても構いませんよ。」と、相手方が了承している文言の事です。
ですので、「強制執行認諾約款付きの公正証書」を作成しておけば、相手方は相当な心理的プレッシャーを受けるはずです。
心理的プレッシャーを受ける事は、内容証明のときにもご説明させて頂きましたが、内容証明には法的拘束力はありませんでしたが、公正証書は法的拘束力があります。つまり、決まった通りに従う義務があるってことです。
そうでないと・・・いくら、相手方が支払うべきものを支払ってないといっても、他人の財産を強制執行できませんよね。
日本は法治国家です。法律の根拠が必要ですからね・・・
このように・・・繰り返しになりますが、公正証書とは、平たく言えば公証人が作成した書面の事です。
公正証書の内容が契約書である場合は、普通の契約書と内容自体はほとんど変わりません。
唯一違いがあるとすれば・・・契約文の最初に公証人が証書を作成した旨と契約文の最後に公証人が作成したことを示す「本旨外要件(ほんしがいようけん)」があるかどうかです。
本旨外要件とは、あなたや相手方が人違いでないこと、作成年月日、場所、などなど公証人の方が書かれる部分の事です。
・次に、公正証書って どうやって作成すればいいの?です。
公正証書を作成するときは、まず、全国に約300箇所ある公証役場に、基本的には、あなたと相手方二人が、出向いて公証人の方に必要事項を伝えます。
あなた 又は、相手方が、何らかの理由で行くことができない場合に代理人に依頼する訳です。
あなたご自身でも公証人に内容を伝えることは、もちろんできますが、弁護士や行政書士などの専門家に一度相談をして、公正証書の原案を作成してから公証役場に出向く方が多いのが実情です。
そして、公証人と依頼者{嘱託人(しょくたくにん)と言います}が、文書の内容を確認して、署名・押印することで公正証書は完成致します。作成された公正証書の原本は、公証役場に保管される事になります。依頼者になるのが・・・・・あなたご自身か、代理人である弁護士や行政書士になります。
公正証書を作成するには、その前提として、あなたと相手方が合意した契約書が重要になります。
極端な話ですが、あなたと相手方が二人で公証役場へ行き、公証人の方に二人の合意した内容を口頭で伝えても、又、要点を箇条書きにした書面を持って行っても、公正証書を作成してはくれますが・・・・・
公証人の方に、それらを正確に伝えるには時間と手間が掛かりますよね。それよりはキチンとした契約書にまとめておいたほうが、間違いがないし、時間と手間を省けて効率的ですよね。
さらに、公証人の方は法律に違反していないか・・・どのような内容を合意してるのか・・・・・等を厳しくチェック致します。
ですので、予め弁護士や行政書士に法的にチェックされた書面である 公正証書の原案となる契約書を作成しておいた方が望ましいのです。
このように繰り返しになりますが、公正証書の基本となるのは、契約書であると言えると思います。
あと、先程、お話しましたが、公正証書の原本(げんぽん)は公証役場に保管されます。債権者(請求できる人)である あなたが正本(せいほん)、債務者(請求される人)である相手方が謄本(とうほん)をそれぞれ交付されます。
費用面のお話ですが・・・公正証書作成には手数料が掛かります。詳しくは省略させて頂きますが・・・目的の価額が、100万円以下~10億円を超える場合まで有りまして・・・5千円~25万円を超える範囲になります。一般的には5千円~4万円位です。
・ここで、ここまでの公正証書を作成するまでの手続きを解り易くまとめておきます。
①.公正証書を作成することについてあなたと相手方で合意すること。
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②.公証役場に電話予約・相談。
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③.本人確認書類の準備(運転免許証、パスポートなど)。代理人を依頼する場合は委任状の交付。
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④.公証役場で公正証書を作成。
ざっくりした流れですが・・・この流れをイメージしておいてくださいませ。
あと、皆様がよく勘違いされているので、再度の確認ですが・・・・・
弊サイトの主な業務であります、債権回収(貸したお金を返してもらうこと)や男女間のトラブルなどについて(離婚、慰謝料請求など)には、あくまで相手方との合意が必要であるということを忘れないで頂きたいのです。
弁護士や行政書士に依頼すれば公正証書を作成してもらえる。・・・と、思っていらっしゃる方が多いという事です・・・
公正証書は繰り返しになり恐縮ですが、公証人の方が作成されるのです。
以上が公正証書の大まかな内容ですが・・・・・
内容証明の場合と比較していかがでしょうか・・・・・
読み飛ばすことのないように最後までついてきてくださいね・・・・・
次のページは公正証書はどんなときに作成したらいいのか? ってお話です。・・・・